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November 24, 2004
松之山温泉

藤澤恵麻さん主演映画のロケで新潟の松之山温泉に来ている。クランクイン直前に地震があり、断念しようかとも一時は考えたが、ほかの場所では見つからない捨てがたいロケ地がたくさんあり、来ることにした。

この映画の時代設定は1970年代前半。日本で近過去の映画を撮影するのは、ロケ地探しに苦労する。古い家屋や町並みがどんどん失われていっているからだ。

今日は撮影はなく、移動だけして、夜は旅館でスタッフ、キャスト集まっての親睦会。昔だとあちらこちらで映画論を闘わしていたり、必ず泥酔して暴れるスタッフや、監督に「あんたは間違ってる!」とか言って食ってかかる助監督なんかがいたりしたが、今の若いスタッフはあまり酒も飲まないし、映画の話なんかしていない。いたって穏やかで健康的な酒席だ。良いのか悪いのかは一概に言えないが、時代が変わったということだ。

松之山温泉は日本でも有数の薬湯。露天風呂に入り、久々にのんびりする。



November 17, 2004
1億ドル突破!

今日、公開27日目にして、『THE JUON/呪怨』が全米興収1億ドル(約108億円)を突破した。アメリカの映画館の入場料金は日本より安いから、ホントにたくさんの人が観てくれたということだ。素直に嬉しい。

でも、同時に、『THE JUON/呪怨』を超えなければならないという重い十字架を背負わされたのだと自覚している。本当の闘いはこれからだ。『THE JUON/呪怨』のヒットは、ただ物珍しかったからだったんだねと言われないように、大胆かつ慎重にアメリカでの映画製作に取り組んでいきたい。

10年前、アメリカで『ヤクザVSマフィア』(ヴィゴ・モーテンセン主演)や『NO WAY BACK/逃走遊戯』(ラッセル・クロウ主演)などといった超低予算映画を作っていた頃から憧れていた、メジャーリーグのマウンドにやっと立てたのだから。そして、勝つためにマウンドに立つのだ。武者震いがする。



November 11, 2004
日本映画ベスト10

今度は日本映画のベスト10。1監督1作品で選び、自分が作った映画は外した。

『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』寅さんだけで10本選べるが、1本選ぶならリリー。年に一度は柴又へ行く。何をするわけでもない。江戸川の河原でただ、日が暮れるのを見ている。

『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』オトナ帝国も戦国大合戦も号泣して絶句した。3年続けて日本映画のベスト1はクレしんだった。

『細雪』もっとも美しい日本映画の1本。市川崑監督は日本で一番好きな監督。金田一シリーズは合計何十回観たことか。

『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』ラドンや海底軍艦やガス人間も捨てがたいが、初めて映画館で観た映画ということでこれ。

『七人の侍』黒澤明監督だけで10本選べるが、1本選ぶならやっぱりこれ。やっぱり凄い!

『新幹線大爆破』革命がうまくいった国へ行ってみたい。昔は台詞を全部憶えてた。

『砂の器』生まれてきたこと、生きていること。これも、昔は台詞を全部憶えてた。丹波哲郎さん演じる今西刑事が地図を見て「亀嵩」という村を見つける場面があるが、そのとき喫茶店に流れている曲が何かを知りたくて松竹に問い合わせたら、菅野光亮さんがこの場面のために作曲したオリジナル曲であると、きちんと返事の手紙をくれた。東宝も親切だった。東映だけが一度も返事をくれなかった。

『切腹』初めて観たときの衝撃は今も忘れない。

『となりのトトロ』カリオストロもナウシカもいいけど、これが一番好き。初めて映画館で観たとき、始まると同時に涙があふれ、終わるまで泣いた。

『日本沈没』何もせん方がええ。これも、昔は台詞を全部憶えてた。こんな骨太な娯楽映画が今の日本で作れるか?

あくまでも今日の気分で選んだベスト10であって、『雨月物語』『家族ゲーム』『蒲田行進曲』『飢餓海峡』『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』『仁義なき戦い』『戦争と人間』『太陽を盗んだ男』『忠臣蔵 花の巻・雪の巻』『ニッポン無責任時代』『日本のいちばん長い日』『HOUSE ハウス』『幕末太陽傳』『マルサの女』『野球狂の詩』などは、ほかの日に選べばベスト10に入るだろう。



November 08, 2004
ロサンゼルス

昨日からまたLA。最初にLAへ来たのは19年前、初めての海外旅行のときだ。付き合ってた女の子がアメリカへ行きたいと言い、彼女は英語を話せたから、初めて海外へ行くことになった。NY、ワシントンまでは楽しかったが、ディズニーワールドで喧嘩になり、LAは別行動となった。

英語の話せない僕は空港からホテルへ行くのも一苦労。映画の都はハリウッドという場所にあると勘違いしていた僕はハリウッドの安ホテルに泊まることにした。当時のハリウッドは寂れた場所で、部屋のドアチェーンも壊れていて、夜中には銃声が聞こえて飛び起きた。

チャイニーズシアターでは蜘蛛の巣に女の人が引っかかっているポスターを見て、ホラー映画だと思って入ったら、ホモの人がずっと喋ってるだけの映画で、何を言っているのかさっぱりわからないから途中で出た。あとになって、それは『蜘蛛女のキス』というアート映画であると知った。

ユニバーサルスタジオ行きのバスを待ってたら、たまたまその日が夏時間から冬時間に変わる日で、1時間待たされたりもした。こんなところへは二度と来ることはないとそのときは思った。



November 06, 2004
「妖怪ハンター」

朝から新作映画の撮影現場に行く。主演は藤澤恵麻さん。NHKの朝ドラ「天花」のヒロインだ。松嶋菜々子さんが所属するセブンスアベニューの辣腕社長、中村ミカさんから「天花」の収録に入る前に紹介され、一目見て気に入った。彼女は大物です。自他共に認める僕のもっとも優れた才能は新人女優を見抜く力で、これだけは自慢できる。

映画のタイトルは未定なのだが、諸星大二郎先生の傑作コミック「妖怪ハンター/生命の木」の映画化。稗田礼二郎は阿部寛さんが演じる。東北の隠れキリシタンの村で起こる世にも奇怪な出来事を描くダーク・ファンタジーだ。

監督は小松隆志さん。『はいすくーる仁義』やヒットしなかったがプロレス映画の傑作『ワイルド・フラワーズ』を監督した人で、不当に低い評価を受けているが、僕はずいぶん前から一緒に仕事しようと思っていた。この作品が小松監督の代表作になると確信している。撮影は12月中旬まで続く。